鰐とリボン

「肩肘はらずいつのまにやらいかず後家な40代」が本を紹介するブログです

マネてまねぶ(学ぶ)

待望の南伸坊、文子ご夫妻の顔マネ最新作(2021年発行)である。関連シリーズ第一作「顔」は南氏の絵画鑑賞的視点からさまざまな考察をつなげた科学的な「顔」についての講義だが、シリーズが進むにつれ、著者の顔マネ、そしてコメントのなりすましまで芸が進化している。

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「本人遺産」 南 伸坊(著), 南 文子(著), 文藝春秋

南伸坊氏の定説に顔が似ている人は考え方も似ている、というものがあるが、顔マネと同時に中身も力技で似せてしまっている感がある。 そしてこれが、読んでいるうちに当人の声で再生されてくる気がするから不思議だ。

特に秀逸なのが小保方晴子氏。顔マネも似ているのだが「コピペで十分なところはコピペで十分だと私は思います。大概の方は考え方がコピペですけどね!」「今までにない新しいアイデアを出せるかどうか? それが科学者でしょう?」のセリフはまるでおぼちゃんの本音を南氏が代弁してくれているようで読者側も胸がスーとする。また似せ方のアイデアにもうならされる。室伏広治氏の首を段ボールでみせるとか。

人の顔認識の技術で判別の要となるパーツは『目』まわり部分とその道の専門家に聞いたが、人間が顔マネをする場合、それらしく見せるには「眉」「口元」「髪型含め輪郭(服装)」も重要なのだな、と本書をみていると思う。

最終項の東海林さだお氏との対談で、南氏が脳科学者・松本元先生の説『人間がなにかを面白いと思うのは入力された情報を処理するとき。そこに快感が介在する』を引用されているが、脳みそを使っているときが面白いと思うようにヒトができているのだとするならば、似ていることが面白いのは、似ているが決定的に違う部分はどこなのかを判断している際の脳の動きが快感を覚えさせるのかもしれない。 そして逆に全くかけ離れたものどうしに相似点を見出した時に嬉しくなるのも同じ理屈かもしれない。

と妄想は広がるばかりだが、単純に南氏の顔マネを見るだけでも声が出てしまうほど笑ってしまう良書であることを最後に付け加えておく。