〜日本昔ばなし くわず女房(第二話)〜
男の夢はかなったが…でも、なんだか、おかしいぞ?
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くわず女房 其の一
男は大喜びで女を家に連れて帰り、早速一緒に暮らし始めた。
女は確かに食事の時もいっさい何も食べず、朝から晩までよく働いた。
男はしめしめ、と大喜びだったが、しばらく経つと米櫃の米が異常に早くなくなることに気がついた。
「勢いにまかせて嫁にしてしまったが、あの女、よもやまさか…」
男はある日、仕事に出かけるふりをして家を出たあと、そっと裏口から家の中に戻り、女の様子をうかがうことにした。
女はキビキビと米を炊き、握り飯を手際よく握っていた。
男はほっとした。
「感心、感心。ちいと早いが、わしのゆうげの支度じゃの」
では安心して仕事に行くか、と男が立ち上がった時、女がハラリと髪を包んでいた布を外した。
すると、そこに大きく赤い何かがうごめいているのが男にハッキリと見えた。
「え?」
奥に真っ黄色の鋭い歯がびっしりと生えた、それはとても大きな唇だった。
女はニンマリとしながらひょい、ひょいと握り飯をその口に次々と放り込みはじめた。
あっという間に大量の握り飯はなくなっていく。
あまりのことに男は
「うわぁぁぁぁぁ!」
と思わず叫んでしまった。