〜日本昔ばなし くわず女房 (第五話)〜
絶体絶命!男の運命やいかに?!
最初から読みたい方はこちら↓
くわず女房 其の一
くわず女房 其の二
くわず女房 其の三
くわず女房 其の四
「え?」
なんのことを言っているのだろう。
男は涙でかすむ目で鬼の視線の先を見た。
するとそこには先日、知り合いの食いしん坊の女が生けた菖蒲が飾ってあった。
鬼は今までの威勢はどこへやら、突然うめきはじめた。
「刀…刀は嫌いじゃ。みただけで頭が痛くなる…」
確かに菖蒲の葉はピカピカしており、尖った刀にもみえた。
鬼は突然立ち上がると
「あ、頭が割れるようにいたいぃ!助けてくれぇぇ!」
と大声で吠えた。
そしてドスドスと地響きをたてながら、外に走り去っていってしまった。
それからというもの、端午の節句には鬼が来ないように人々は菖蒲を軒下に吊るすようになった。
そして男は食いしん坊の女と末長く仲良く暮らしたそうだ。
めでたしめでたし。
(了)