〜日本昔ばなし 河童のちえくらべ (第七話)〜
河童族に伝わる軟膏の効き目やいかに?!
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河童のちえくらべ 其の一
河童のちえくらべ 其の二
河童のちえくらべ 其の三
河童のちえくらべ 其の四
河童のちえくらべ 其の五
河童のちえくらべ 其の六
池に戻ったイチとニイはまず自分たちの頭の皿を池の水につけ、次にサンの皿に手ですくって水をかけた。
すると、ずっと閉じたままだったサンの目がうっすら開いた。
「サン、だいじょうぶか。今手当てをするからな」
サンをいつもの寝床に寝かせると、ニイは河童族の軟膏をもってきてサンの傷口に丁寧に塗りつけた。
そしてハスの葉っぱを摘んできて、長さが半分になってしまったサンの右手を丁寧にくるんだ。
「ありがとうな」
サンが、かすれた声でそうこたえたのでニイは涙をこらえてうなずいた。
「すまないが、すこし眠らせてくれ」
そういうとサンは目をつむって寝息をたて始めた。
イチとニイはそんなサンの様子にすこし安堵すると、ひそひそ声で相談を始めた。
「俺たちの軟膏はそりゃぁ、とびっきりの効き目があるが、やはり、失ったものが生えてくるほどの効き目はないんだな」
「そりゃあそうだろう。しばらくはたくさん必要だろうから、あたらしくつくっておくよ」
イチは軟膏の入れ物をニイから受け取ると、さっそく材料を準備しはじめようとした。
「まぁまて、イチ。ただな、鎌でやられたとしても、三日経たないうちにあの軟膏でくっつけると元通りになるとおれは昔、聞いたことがある」
「それはほんとうか、ニイ」
ニイは力強く頷いた。
「おじいは今日の夕方には家に戻ってくるだろう。俺が取り返しに行ってくる」
「俺もいく!」
案の定、イチも息まいたが、ニイはそれをおしとどめた。
「お前はサンを看病していてくれ。軟膏もつくらなきゃならんしな。それにサンは目が覚めたらこの話に反対するだろう。くれぐれも黙っておいてくれ」
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