〜日本昔ばなし 妖怪皮算用(ようかいかわざんよう)(第四話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
人間はいったいどうすれば妖怪になれるのか?
とはいえ人間が妖怪になるなど、男にもさすがに奇想天外なことにしか思えなかった。
「興味深い話だが、そんなことは本当にできるのだろうか?」
「妖怪の体のどこかを煎じたお茶を一年間、毎日飲み続ければなれる、と言う話でした」
「う、ううむ」
男はうなった。どうやって妖怪の体のどこかを手に入れれば良いというのか。とりたてて強くも、しかももう若くもない自分のような者が。
すると妻は男の心の内を見透かしたようにこういった。
「妖怪をとらえるのは難しいでしょう。ですが、河童の鱗(うろこ)、山姥の髪の毛、鬼の爪の先、などならもしかしたら可能ではないでしょうか」
「なるほど。それならできるかもしれぬな」
何事もやってみなければわからない。自分に残された時間は少ないのだから、一縷の望みであってもすがってみよう。男は決心した。
「明日、まずはさっそく河童のいる沼へ行ってみることとしよう」
すると、妻も身を乗り出してきた。
「ひとりで向かうのは危のうございます。私も一緒に参ります」
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妖怪皮算用(ようかいかわざんよう) 其の四 準備中