〜日本昔ばなし 妖怪皮算用(ようかいかわざんよう)(第六話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
初っ端(しょっぱな)から失敗! ふたりはどうなる?!
寝込みを襲われた河童は怒り心頭で、頭に引っかかっていた虫取り編みを後ろに投げやると、
「お前たちはいったい誰だ!」
と叫び、男と妻をギロリ、と睨んだ。
「おれさまの眠りを邪魔しおってからに。しかもなぜ、俺の鱗(うろこ)をはがそうとした」
詰め寄る河童に、男と妻は蛇に睨まれたカエル、いや河童に睨まれたタヌキの如く縮み上がった。
このままではどんな仕返しをされるかわからない。
「た、ただのいたずらでございます。おやすみのところ、し、失礼いたしました!」
苦しい言い訳とともに、男と妻は急いで逃げ出した。もちろん河童は追ってくる。
「まてー!この鱗泥棒めが!」
男と妻は、最近の日々の暮らしで走ったことなどなかった。しかし、自分たちでも意外なほど早く走れた。
河童が寝起きだったということや、得意な水中ではなかったことが幸いしてか、河童の声はだんだん遠くなり、追ってくる気配もやがて消え去った。
男と妻は無事、逃げ切ることができた。
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妖怪皮算用(ようかいかわざんよう) 其の七