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妖怪皮算用(ようかいかわざんよう)其の十(全二十四話)

妖怪皮算用

日本昔ばなし 妖怪皮算用(ようかいかわざんよう)(第十話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
道標(みちしるべ)とともに閻魔大王のもとへと急ぐ二人だったが…⁉︎

妖怪皮算用(ようかいかわざんよう)
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山姥(やまんば)の髪は受け取ったとたん、ピンと糸を張ったようにまっすぐになり、持ち主をある方向へグッと引っ張った。

どこを向いても方位磁石のごとく同じ向きを指し、その方向へと導かれる。

「これでもう迷うこともなかろう。ここから閻魔大王(えんまだいおう)のいるところまでは半日もかからぬ」

山姥(やまんば)がさっと手を振ると、三人を乗せた雲は山の木々の間をジグザグとぬって降りていった。

男と妻を地面に下ろすと、

「道中の無事を祈っておる。達者でな」

山姥(やまんば)はそういってニカッと笑い、瞬く間にどこかへ飛んでいってしまった。

「気持ちの良い妖怪でしたねぇ」

妻が言うと、男も

「まったくだ」

と頷いた。

「それにしても、もし私が妖怪になれたなら、どう変わってしまうのだろうか」

歩きながら二人でしばらく考えたが、まったく想像がつかなかった。

「とにかく閻魔大王に会いに行こう。話はそれからだ」

しばらくのあいだ二人は黙々と歩み続けた。このような急ぐ旅でなければさぞかし、と思われる美しい景色も通り過ぎた。

やがて雨が降ってきた。二人は大きな岩の陰で雨宿りをし、手包の中の握り飯を食べ、竹筒の水で喉をうるおした。

雨が弱まり再び歩き出そうとしたが、今になって忘れていた疲れがどっと押し寄せてきた。

「もう少しだけ休んでからにしようか」

「そうしましょう」

男と妻は少しの間だけ、と目を閉じた。

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妖怪皮算用(ようかいかわざんよう) 其の十一 準備中