〜日本昔ばなし 妖怪皮算用(ようかいかわざんよう)(第十一話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
少しだけ休んだつもりの二人だったが…⁉︎





目が覚めると、先ほど弱まっていた雨足は再び強くなっていた。
小半刻(こはんとき/15分程度) ほどしか経っていないはずだが、実際はもっと経っているのかもしれない。太陽がみえないのでわからなかった。
「先を急ごう」
二人はまた歩き始めた。山姥(やまんば)の髪は相変わらずピンとたち、決まった方向を指してくれていた。
問題は足元がぬかるんでいることだった。誰かが通ったであろう細い道はあったが、気が急くばかりで思うようになかなか進まない。
「雨が降っていなければもっとはやく歩けたでしょうにねぇ」
男と妻は励まし合いながら、進み続けた。
やがて目の前に三つの道が現れた。
道標は一番左の道を指していたが、いちばん険しく岩だらけであった。中央は平坦な道で進むと先に視界が開けそうであった。いちばん右は湖へとつながるなだらかな下り坂だった。
「体力ばかり消耗してもしょうがない。とりあえず真ん中の道を進んで、あまりにも道標とかけ離れるようだったら、左の道に移ろう」
そして真ん中の道を進み始めたが、道はすぐに大きく右へ曲がり始めた。これはいけない。やはりいちばん左の道へ移ろう、と岩場を横断しようとした途端、
「あーっ」
二人は岩に足をとられ、あっという間に谷間へゴロゴロと転がり落ちてしまった。
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妖怪皮算用(ようかいかわざんよう) 其の十二 準備中