〜日本昔ばなし ぶつくさ太郎と一つ目小僧(第三話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
太郎に重吉は今日もちょっかいを出してくる…!
翌日、太郎が寺子屋に行くと先生はいつもどおり、せかせかと忙しそうにしていた。
寺子屋では各々が学びたいことを学び、わからなくなったら、先生や先に進んでいる仲間に相談することになっている。
太郎は今日は算学の日だったので気が楽だった。けして計算は得意ではないが、曖昧さがないのが性に合う。
教科書をみながら一生懸命そろばんを弾いていると、同じく算学をやっている重吉がちょっかいを出してきた。
「おい、おい、太郎」
「今話しかけないでくれ。わからなくなる」
「ここと、ここのよう。答えはなんになるんだい」
太郎は重吉のこういうところが苦手だった。なんでも聞いて、てっとりばやくすませようとする。
「でも、答えがあっているかわからないし」
「それでもいいよ。答えはなんなのか教えてくれよ」
「いやだ」
「いいじゃないか減るもんじゃなし」
もめていると先生がやってきた。
「太郎、重吉! 皆の迷惑になるから静かにしなさい」
すかさず重吉が
「だいぶ先に進んでいる太郎に教えてもらおうと聞いただけなのに、教えてくれません」
とかわす。
「ちがいます、重吉が答えだけを知りたがるので…」
太郎はあわててそういったが、先生はいつものいさかいだと思ったらしく
「教えあってこそ、自らの理解が深まると言うもんだ。太郎、教えてあげなさい」
そういって、違う生徒の指導に戻ってしまった。
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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の四