〜日本昔ばなし ぶつくさ太郎と一つ目小僧(第八話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
重吉のちょっかいはますますエスカレートしてきて…⁈
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あくる日のこと。太郎が寺子屋から急いで帰ろうと飛びだすと、重吉と八郎が追いかけてきた。
「おい太郎。最近やけに急いで帰るじゃないか」
息せききってまで追いかけてくるふたりに太郎はうんざりしたが、急ぎながらも正直に答えた。
「今日も伝右衛門さんのところにいかなきゃならないんだ。話しているひまはない」
重吉はつまらなそうに、ふうん、といったあと、なにかを思いついたようににやりとした。
「そういえば、うちの姉上が伝右衛門さんのところの傘は破れやすいといっていたなぁ」
「ほんとうか」
内心、重吉のいつもの御託(ごたく/なんくせのこと)だろうとは思ったが、太郎は足をとめ、重吉たちのほうに向きなおった。
「それがほんとうだとしたら申し訳なかった。今度、その破れた傘をみせてくれないか」
すると重吉は目線をそらし
「さあ。捨ててしまったのではないかな」
ととぼけた。やはり御託かと太郎は思ったが、重吉の家は裕福な油問屋(あぶらどんや)である。はぶりもよく、まだ使えるものを捨てることもあるかもしれない。
重吉のほうは太郎が歩みをとめたことに気をよくし、また話を続けた。
「なんにしろ最近じゃ修理して使う古傘より、越後屋の貸し傘(今でいうセレクトショップのロゴ入り傘のようなイメージ)をつかうほうが粋だからな。太郎が一生懸命、貼り方を習ってもしょうがないかもしれないぞ」
いつもは重吉がつまらないことばかりいうことに腹を立てていたが、今回はつまらないだけではない。もはや嫌がらせだ。
太郎は珍しくなにも言い返さず、だまって重吉たちに背を向けると、そこから早足で立ち去った。
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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の九