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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の九(全二十四話)

ぶつくさ太郎と一つ目小僧

日本昔ばなし ぶつくさ太郎と一つ目小僧(第九話) 文・絵 ムトゥチズコ〜

ふたたび一つ目小僧に会えた太郎だったが…⁈

ぶつくさ太郎と一つ目小僧
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「きょうの重吉はいつにもましてしつこかったな。あんな御託(ごたく)ばかりならべて」

太郎がぶつぶついいながら伝右衛門さんのところに急いでいると、きのう、一つ目小僧にぶつかった道角にやってきた。

もしかしたらまた会えるのではないか、と思ったとたん、ぴょこん、と一つ目小僧が角から顔をのぞかせたので、太郎は思わず笑顔になった。

一つ目小僧は太郎にひとなつこい表情で寄ってきて、

「きのうは握り飯をありがとう。うまかったぜ」

といった。

「こちらこそ、おからをありがとう。お腹にたまってとてもおいしかった」

太郎もそう返した。そして二人は顔をみあわせて、なんとなく照れくさくなり、へへへ、と笑った。

寺子屋の帰りかい。それにしちゃ、うかない顔つきだな」

太郎は一つ目小僧にいろいろ話したくなったが、なにせ今日は忙しい。伝右衛門さんのところに急がなくてはならない。

「きょうは急いでいかなきゃならないところがあるんだ。でも、また今度会えるかい」

「なるほど。じゃあ、こうしよう」

一つ目小僧は素早い身のこなしで太郎の後ろに回り込むと、あっというまに背中に飛びのってきた。

太郎は一つ目小僧が思ったよりも軽くそしてあたたかいことに驚いた。

「こうすれば歩きながら話が聞けるぜ。さぁ、先を急ごう」

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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の十