さまざまな日本の文化を紹介します。民話と3DCGの融合にチャレンジ中。

ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の十二(全二十四話)

ぶつくさ太郎と一つ目小僧

日本昔ばなし ぶつくさ太郎と一つ目小僧(第十話) 文・絵 ムトゥチズコ〜

伝右衛門のもとを訪ねる一つ目小僧とからかさ小僧だったが…⁈

ぶつくさ太郎と一つ目小僧
最初” class= 前” class= 次” class= 最後” class=

一つ目小僧とからかさ小僧は伝右衛門の長屋につくと、入り口の戸を少しだけ開け、なかを覗きこんだ。

伝右衛門と太郎がなれた手つきで傘を貼っているのがみえる。このまま、しばらくようすをみる予定だったのが、

「なんだ、やはり伝右衛門はまだ童(わらし)ではないか」

からかさ小僧がそうささやくので、一つ目小僧が

「いや、そっちは太郎だ。伝右衛門はおとなのほうだ」

とこたえたとたん、

「なんと! あの爺のほうか!」

驚いたからかさ小僧が大声をだした。と同時になかのふたりがびっくりしたようにこちらを振りむき、伝右衛門の目が嬉しそうに光った。

「からかさどの! からかさどのではないですか! そして太郎のご友人の一つ目どのですね!」

もうこうなってはしかたない。トコトコとなかに入るふたりを、童に戻ったかのような笑顔の伝右衛門と、太郎が出迎えた。

「久しぶりだな。伝右衛門。すっかり貫禄がついたなぁ。技の習熟ぶりをみにきてやったぞ」

「なんと親切な。ぜひまたご指南ください」

それからからかさ小僧は半刻ほどかけ、伝右衛門の手しごとをじっくりとみた。そして

「うむ、やはりおぬしの腕はたしかだ。教えたとおりのやり方を守っておる。糊もケチってはおらぬ」

満足そうにそういったので、伝右衛門も嬉しそうにうなずいた。

「からかさどのの太鼓判に勝るものはありません」

太郎もほっとして微笑んだ。しばし穏やかな時がながれたところで、一つ目小僧が目をくるりとまわし、いたずらっ子のような顔つきになった。

「やはり重吉の御託(ごたく)とわかったところで、やつをどうにかしてこらしめねばなるまい」

続きが読みたい方はこちら↓
ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の十三