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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の十五(全二十四話)

ぶつくさ太郎と一つ目小僧

日本昔ばなし ぶつくさ太郎と一つ目小僧(第十五話) 文・絵 ムトゥチズコ〜

一つ目小僧たちにこらしめられた重吉と八郎だったが…⁈

ぶつくさ太郎と一つ目小僧
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「もっとなにか深いたくらみがあるのかと思っていたが」

そういうと一つ目小僧はあらためて重吉の方に向き直った。

「重吉。おまえはなかなかに知恵がまわる。しかし、だからといってすべて己(おのれ)に都合がいいように根回ししちまうってぇのはよくないぞ」

そしてじっと重吉をみた。

「いま、おまえが真似ているおとなにほんとうにじぶんがなりたいのか、いっぺん、よく考えてみろ」

重吉はだまっている。

「おまえがなりたい人間になればいいんだ。ま、もし妖怪になりたいっていうならそれも歓迎だがな」

そして一つ目小僧はニヤリと笑い、からかさ小僧に目配せするとすっと右手を挙げた。

あたりはふっと明るくなり、気づくと重吉と八郎は元いた場所にふたりだけで立っていた。雨もすっかり止んでいる。

「いやぁ、まいったな。いまのはいったいなんだったんだろう」

八郎は喉元過ぎればなんとやらで、急に勢いよく話しはじめたが、重吉はだまったまま寺子屋へ歩きだした。

部屋で勉強の支度をしていると、太郎がやってきた。

八郎が

「おい、太郎。お前のせいでひどい目に…」

と声高にいいかけたのを、重吉が

「おい」

と止めたので、八郎はだまった。

そして、三人はそれぞれ、自分の勉強をはじめたのだった。

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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の十六