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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の十八(全二十四話)

ぶつくさ太郎と一つ目小僧

日本昔ばなし ぶつくさ太郎と一つ目小僧(第十八話) 文・絵 ムトゥチズコ〜

重吉たちの伝右衛門への提案とは…⁈

ぶつくさ太郎と一つ目小僧
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あくる日。太郎が寺子屋に行くと、重吉がつっと寄ってきた。

「太郎。きょうも伝右衛門さんのところに行くのか」

「ああ、行くとも」

太郎が書道の道具を片付けながら答えると、

「じゃあ一緒に連れて行ってくれないか」

といつになく殊勝な声である。太郎が顔をあげると、重吉はバツが悪そうにしている。

「とにかく、連れて行ってくれ。仕事の邪魔はしないから」

寺子屋が終わって外に出ると、油問屋の若番頭が表で待っていた。

「ぼっちゃん。そして伝右衛門さんのところで傘貼りをしている太郎どのですね」

太郎がうなずくと、若番頭はにっこりとした。

「きょうはいい話を持ってきやした。さっそく向かいましょう」

伝右衛門のところに着くと、若番頭はすぐに本題を切り出した。

「私は油問屋の番頭、悟助と申しやす。さっそくですが、伝右衛門どのは傘を一本貼るとどれくらいの手間賃になりやすか」

伝右衛門がびっくりしているのにもかまわず悟助はまくしたてる。不思議と押し付けがましさはないのがさすがの商売上手といったところか。

そして口ごもる伝右衛門をひらりと手で押さえ、

「おそらく180文といったところでしょうな。そこでひとつご提案」

といいながら楽しそうに悟助は膝をぽん、と叩いた。

「うちと直接、取引をするってえのはどうでしょう。なあに、中継ぎの傘屋との不義理については心配ご無用。あっしに任せてくだせえ。傘屋は昔からの馴染(なじみ)なんでさ。修繕先をいくつも抱えているようですから、伝右衛門どの一人引き抜いても、ちっとも痛手ではねえそうですぜ」

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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の十九