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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の十九(全二十四話)

ぶつくさ太郎と一つ目小僧

日本昔ばなし ぶつくさ太郎と一つ目小僧(第十九話) 文・絵 ムトゥチズコ〜

傘屋のどんぶり勘定、塵(ちり)もつもれば…⁈

ぶつくさ太郎と一つ目小僧
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「うちの油問屋と直接取引してくれるってえなら、うちは傘1本につき300文、お渡ししやすぜ」

悟助がたたみかけるようにつづけると、少し落ち着いたようで伝右衛門が口をひらいた。

「まことにありがたいお話ですが、しかしそれではどこかにしわ寄せがくるのではありませんか」

すると悟助はすぐに首を横にふった。

「いいですかい。傘は500文で売っている。今までの伝右衛門どのへの手間賃は180文。修繕用の古傘の仕入れは高くても20文。修繕用の紙、糊、油を買う代金は100文。残り200文はつまり、まるまる傘屋の懐にはいっちまってたってわけでさぁ」

伝右衛門は納得したようでなるほど、といったように頷いた。

「傘屋には修繕用の材料代にもっとかかるときいていました。でもなぜ急にこのような話をいただいたのでしょうか」

伝右衛門はあくまでも慎重である。悟助は、おっと、といって頭をかいた。

「おれはどうもせっかちでいけねえや。まえまえから、伝右衛門どのの修繕は丈夫かつ丁寧で気に入ってたんでさ。しかし最近、なかなか忙しくて個人客は頼めない」

そして重吉のほうをみてにこり、とすると

「重吉ぼっちゃんからお弟子の太郎どのも忙しいと聞いて、いっそ、うちでも傘をあつかってみようと考えついたんです。油問屋のお客たちにいらない傘を売ってもらって、かわりに修繕済の傘を買ってもらう。ふつうより安い450文で売っても、50文はうちの儲けになりやす。なあに、あくまでも油問屋のおまけの商売でさあね、それでかまやしません」

そしていずまいをただした。

「伝右衛門どの。良い技術を安売りしては皆のためになりやせん。そこはあっしら商人にまかしてくだせえ」

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