〜日本昔ばなし やまんばの瓢箪(ひょうたん) (第四話)〜
食欲の次にわきおこる欲っていったい、なぁんだ?
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やまんばの瓢箪(ひょうたん) 其の一
やまんばの瓢箪(ひょうたん) 其の二
やまんばの瓢箪(ひょうたん) 其の三
「やっぱり、いいやまんばだ」
3きょうだいはすっかりうれしくなった。
そしてまたむしゃむしゃ食べた。
生まれて初めて腹いっぱいになった3きょうだいはやがて、いつのまにか眠ってしまった。
「おやおや、これでは遊べないではないか」
やまんばは残念そうにつぶやいた。
「しょうがない。またにするか」
やまんばは瓢箪をかかえると雲に乗った。
3きょうだいと出会った原っぱにつくと、やまんばはフーッフーッと、ひょうたんに息を吹きかけはじめた。
するとひょうたんの口から3きょうだいが次々と押し出され、ゆっくりと地面に降りていった。
「おい、おうい」
とうちゃんの呼ぶ声で3きょうだいは目を覚ました。
「ここにいたのか。さがしたんだぞ」
にいちゃん「やまんばにごちそうになったんだよ」
いもうと「やまんば、優しかったよ」
おとうと「おいしかったよ」
「そうか、そうか」
3きょうだいをとうちゃんはぎゅっと抱きしめた。
にいちゃん「とうちゃん、怒らないの」
とうちゃん「無事でよかった。かあちゃんがまってるぞ。はやく帰ろうな」
とうちゃんはなんだか、なきそうにみえた。
いもうと「やまんば、また会えるかなぁ」
おとうと「会いたいなぁ」
空にはまん丸いお月様。
そのようすをやまんばは雲の上から見守っていた。
「ま、あそぶのはまたにしようかの。といっても、次にこられるのは1000年先かもしれぬ。せっかく友達になれても、あやつらの時間は短いからの」
やまんばはため息をついてひとりごちると、気を取り直したように雲をあやつり、ぴゅっと山の向こうへ飛んでいってしまった。
(了)