〜日本昔ばなし 天狗のなやみごと (第二話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
仲間に入ろうと勇気を出したコテンだったが…?
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天狗のなやみごと 其の一
まっすぐに天上高く飛び上がったコテンは羽団扇(はうちわ)を大きく打ちあおぎ、びゅん!と空を駆けた。
眼下を見下ろすと山裾にある寺の境内で相撲をしている子供たちが豆粒のように見える。
コテンは気づかれないようにこっそりと木の茂みに降り立ち、羽団扇をその木陰にかくした。
さっきの勝負はガキ大将が勝ったようで、子どもたちははやくも次の勝負を始めようとしていた。
コテンはドキドキしながら彼らに近づき、声をかけた。
「なかなかおもしろそうだな。おれもまぜてくれ」
子どもらがいっせいに振り向いたので、コテンの心臓はますますはやく打った。
「おまえ誰だ。みない顔だな」
ガキ大将が鋼(はがね)のような声でこたえた。
「お、おれは隣り村からきたコテンってもんだ」
「ふん。で、なんですっぽり頭を手拭いでまいてるんだ」
「じ、じつは日にあたっちゃあ、からだによくないとお医者に言われているのさ」
コテンのとっさの言い訳に子どもたちはいぶかしそうに顔を見合わせた。
(やはり怪しくみえるのか…)
コテンが肩を落としそうになったその時、ガキ大将が口を開いた。
「確かにおまえはからだが赤いな。肌が弱いのだろう。よしッ、じゃあまずはおれが相手だ。一番(相撲の試合の数えかた)やろう」
コテンは嬉しくなって勢いよく頷いた。そして早速ふたりは土俵で見合った。
ーーーハッケヨイ、のこったのこった!
がっぷり四つに組み合うコテンとガキ大将に子供たちはわあっと沸いた。
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河童のちえくらべ 其の三