〜日本昔ばなし 天狗のなやみごと (第五話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
自分の山で親子を発見したコテンだったが…
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天狗のなやみごと 其の一
次の日の夕方、コテンが自分の山の上を羽団扇で飛んでいた時に、山のてっぺん近くの木陰に誰かの影がチラリと見えた。
「おや?もう夕方なのに、まだ山を降りないとは珍しい」
秋の夜は暮れるのが早い。そろそろ足元が危なくなる頃合いだ。
近づくと、父親と子供が座り込んでいるのが見えた。
どうやら父親のほうは怪我をしているらしく、どこかで転びでもしたのだろう、足を抱えて赤い顔でうめいている。
寄り添っている子どもは見たことがある顔だ。そうだ、相撲をとった時にいた子だ。
あの時のことを思い出し、コテンの胸はキュッとした。
でも、このままほっとくわけにいかない。コテンは意を決して、ふたりの目の前におどり出た。
「ど、どうした? 歩けないのか?」
ふたりはハッとしたようにコテンの方を見たので、コテンはやっぱりドキドキした。
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天狗のなやみごと 其の六