〜日本昔ばなし 妖怪皮算用(ようかいかわざんよう)(第十六話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
やっぱり兄貴分はなかなか手強いぞ…⁉︎
女、もとい青鬼が奥の部屋へと駆け込み、
「兄貴、兄貴! たいへんだ」
と騒ぎたてると、昨日の酒がまだ残っている風情の赤鬼が面倒くさそうにあくびをしながら
「どうした兄弟。何か珍しいものでも見つけたか?」
と現れた。
「人間どもが俺たち鬼のヘソを大量に持っているんだ。あれだけの鬼を負かしたのだとしたら、恐ろしい奴らだ」
すると今まで半分閉じていた赤鬼の目がカッと見開き、ギロリと光った。
「あやつらが?…そんなふうには見えなんだがな。ま、お前は早とちりの怖がりだからな」
岩陰からのぞいている男と妻の心臓は早鐘を打ち、冷や汗が流れて生きた心地がしなかった。
「本当だって。じゃあ、兄貴も来て確かめてくれよ」
「二日酔いで化けるのはなかなかしんどいが、しょうがない」
そういって赤鬼はくるりと一回転した。するとそこには多少いかついが、品の良さそうな老婆が現れた。
「俺もいって確かめてみよう」
(ま、まずい)
男と妻は慌てて寝床へもどった。やがて茶を盆にのせ、不服そうに唇を尖らした女(青鬼)と老婆に化けた赤鬼が現れた。
「まあ、顔色が良くなられましたねぇ。よかったこと。それはそうと珍しいお菓子があるそうですね。私も呼ばれようかしら」
老婆(赤鬼)はそういうと、二人をギロリ、と見た。
続きが読みたい方はこちら↓
妖怪皮算用(ようかいかわざんよう) 其の十七