〜日本昔ばなし ぶつくさ太郎と一つ目小僧(第四話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
生まれてはじめて妖怪に遭遇する太郎だったが…⁈
「まったく先生ときたら、すぐに重吉のいうことを真にうけてしまうんだから…」
その日、太郎はぶつぶついいながら家路についた。
「最近生徒が増えて忙しいのもわかるが、このあいだの習字の件といい先生は最近、雑がすぎるのではないか…」
そんなことをつらつら考えながら歩いていたので、太郎は曲がらねばならぬ曲がり角をとおりすぎそうになった。
急いで右へと方向を変えたとたん、思い切り何かにぶつかって太郎は尻餅をついた。
目の中に火花がちかちかとまたたいている。どうやら相手は相当の石頭だ。
「いたたたた…」
目を開けた太郎は驚いた。目の前に同じように頭をおさえた一つ目小僧が尻餅をついてこちらを睨んでいるではないか。
今まで妖怪の噂はよく聞いてはいたが、自分が遭遇するのははじめてだった。
「だ、だいじょうぶか」
太郎がおそるおそる尋ねると、一つ目小僧はキンキンした声でわめいた。
「だいじょうぶなわけがあるもんかい。おれはちゃんと前をみていたぞ! お前が急に飛び出してきたんだ」
「ご、ごめんな」
しょげる太郎を尻目に一つ目小僧はピョンと立ち上がると、地面に放り出され崩れた豆腐をみてまたわめいた。
「せっかくもらった豆腐がだいなしだ! どうしてくれる」
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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の五