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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の五(全二十四話)

ぶつくさ太郎と一つ目小僧

日本昔ばなし ぶつくさ太郎と一つ目小僧(第五話) 文・絵 ムトゥチズコ〜

一つ目小僧は立ち直りがはやいヤツ…⁈

ぶつくさ太郎と一つ目小僧
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地面でひしゃげている豆腐を見て、太郎はオロオロしはじめた。

「どうしよう…どうしよう…」

もともと気が小さく、自分の失敗も許せない性分(しょうぶん)である。

(先生のことを責めていたけれど、これでは私のほうがよっぽど、すっとこどっこいだ。妖怪にまで迷惑をかけているじゃないか…)

今にも泣きだしそうな太郎をみて、一つ目小僧はしだいに落ち着いたらしかった。

「ま、これはおれの晩めしだったんだが、こうなったからにはしょうがない。これからおまえの家にいくぞ」

「えっ、いったいなぜ?」

おどろく太郎に、一つ目小僧はくるくるっと目玉を回し、ニヤリとわらった。

「決まってるじゃないか。かわりのものをなにかよこせ。それでなかったことにしてやる」

言われるがまま、太郎は一つ目小僧を家に連れて帰ることにした。

一つ目小僧は豆腐屋でときどき丁稚(でっち)たちにまじって手伝いをしているという。

「いつもはおからをもらえるんだ。けど、ほんとうにたま〜に豆腐があまるとくれるのさ」

「そんなたまの日だったのか。申し訳なかった」

「ほんとにそうさ」

やがて太郎の住んでいる長屋についた。朝炊いたお米がお櫃(ひつ)の中にあったので、太郎はおむすびをひとつ握り、一つ目小僧に手渡した。

「これでだいじょうぶかい」

一つ目小僧は嬉しそうに受け取ったが、そのあといぶかしげに太郎にたずねた。

「これはお前の夕餉ではないのか」

太郎はいおうかどうか迷ったが

「いいんだ。食べてくれ」

といった。それを聞いた一つ目小僧はなにか考えているようだった。が、すぐに

「それでは遠慮なくいただくぜ」

と帰って行った。

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ぶつくさ太郎と一つ目小僧 其の六