〜日本昔ばなし 妖怪皮算用(ようかいかわざんよう)(第五話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
一念発起(いちねんほっき)して妖怪のもとへ出かけた二人だったが…?
ついていく、いやあぶない、としばらくの間揉めたが、最終的に男が折れ、男と妻は一緒に河童がいる沼へ向かうこととなった。
村の誰かに会っても気づかれないようにと笠と蓑(みの)を被り、捕まえるための虫取り網と万が一の事態に備えて短刀も懐(ふところ)に忍ばせた。
翌る日。朝靄のけむる中、二人が河童沼近くの草むらに身を潜めていると、狙い通りの獲物が見えた。
沼のほとりで河童が無防備に眠っている。
抜き足差し足で近づくうちに、男も妻もドキドキしてきた。なにしろ妖怪と相対したことなど、これまでの人生でいちどもなかったのだ。
河童のすぐ近くまでたどり着くと、河童は気持ちよさそうにクウカクウカと寝息をたてていた。
すぐに妻が急かし始めた。
「おまえさま、今ですよ。起きてしまったら私たちの手には負えません」
「わ、わかっておる」
少し間があったのち、ようやく男も覚悟をきめた。
「す、すまぬ河童よ!」
男が上から河童に勢いよく虫取り網をかけた。
「な、なんだー?!」
不意打ちに驚いた河童があばれるのを、男が必死で網でおさえる。
その隙に妻はかがんで河童の鱗を剥ごうとする。
「イッデデデ!なにしやがる!」
河童にしてみれば寝込みを襲われたうえに、鱗をはがれるなどたまったものではない。
やんぬるかな、男が必死に抑えるも力及ばず、河童は網をひっつかみ頭の皿で思い切り突き破った。
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妖怪皮算用(ようかいかわざんよう) 其の六 準備中