〜日本昔ばなし 妖怪皮算用(ようかいかわざんよう)(第九話) 文・絵 ムトゥチズコ〜
妖怪のことは妖怪に聞くのがいちばん⁉︎





「まぁ!まだ年寄りなんかじゃありません!」
十ほど男より年が若い妻が憤慨しているのをおしとどめつつ、男は全てを話した。
死なないですむ方法を調べていたこと。妖怪になれば死なないですむという話を知ったこと。妖怪の体の一部を煎じて一年間飲めば願いが叶うかもしれないと知り、妖怪を探していたこと。河童の鱗を撮り損ねたこと。
山姥(やまんば)はふむふむ、と興味深そうに聞いていた。
「なるほど。てっきり、二人で思いつめて黄泉の国への旅に出かけたのかと思っていたが…邪推だったな」
そしてまた、たのしそうにカラカラと笑った。
「だいたい妖怪を捕まえて一部分をせしめようなど、元気があるにもほどがある」
山姥(やまんば)の気さくな態度に男も妻も緊張がほぐれた。
「山姥どのは、人間が妖怪になれると思われますか」
「なれる」
山姥(やまんば)がはっきりと言い切ったので、男と妻は、ヒュウ、と首の後ろあたりが冷たくなった気がした。なにせ当の妖怪の言葉だから真実味がある。
「わしは人が妖怪になったものも、人と妖怪、両方の血が混じったものも知っている」
山姥(やまんば)はそういうと、じっ、と男の目をみた。
「しかし当たり前だが今のお前の姿と心のまま、妖怪になれるわけではないぞ」
男はごくりと唾を飲んだ。
「それでもいいのなら閻魔大王(えんまだいおう)をたずねよ。なれる方法を知っているのはあいつくらいなものだ」
そして山姥(やまんば)は髪を一本引き抜くと二人に手渡した。
「これが道標となってくれる。持ってゆけ」
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妖怪皮算用(ようかいかわざんよう) 其の十 準備中