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河童のちえくらべ 其の九(全十二話)

日本昔ばなし 河童のちえくらべ (第九話)〜

おじいさんの決断を待つしかないニイだったが…。

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河童のちえくらべ 其の一
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河童のちえくらべ 其の五
河童のちえくらべ 其の六
河童のちえくらべ 其の七
河童のちえくらべ 其の八

「しかし、お前の手が半分になったら今度はお前が困るだろう」

おじいさんは、ジロリとニイを見た。

「それに身代わりになるといえば、俺が返すとでも思っているのではないか」

ニイは身じろぎもせず、頭を下げたままで答えた。

「いや。俺たち三人は一心同体なんだ。サンの手がなくなるのは俺やイチの手がなくなるも同じこと。それなら俺の手の方がマシだ」

「すすんで犠牲になりたいというのか」

ニイは強く頭(かぶり)を振った。

「いや違う。俺は足は早いが、手先はイチやサンのように器用ではないんだ。ただで返してくれとはいわない。もし返してくれたら、金輪際、おじいやアオには手を出さない」

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おじいさんはため息をついた。

「いまさらそんな言葉を信じられるか」

ニイは顔だけをあげて、おじいさんの目をじっと見つめた。

「俺たち河童は嘘は言わない。人間とは違う」

おじいさんはしばらく迷っている様子だったが、やがて町に持っていった袋の荷をとき始めた。

そして中からゆっくりと鎌を取り出したので、ニイは体をかたくした。

(やはりほんとうに俺の手を差しださなくてはならないか…覚悟を決めなくては)

その時だった。

バタンと戸を開ける音がして、

「おじい、待ってくれ!」

サンとイチがそこにとび込んできた。

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河童のちえくらべ 其の十一
河童のちえくらべ 其の十二