〜日本昔ばなし 河童のちえくらべ (第九話)〜
おじいさんの決断を待つしかないニイだったが…。
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河童のちえくらべ 其の五
河童のちえくらべ 其の六
河童のちえくらべ 其の七
河童のちえくらべ 其の八
「しかし、お前の手が半分になったら今度はお前が困るだろう」
おじいさんは、ジロリとニイを見た。
「それに身代わりになるといえば、俺が返すとでも思っているのではないか」
ニイは身じろぎもせず、頭を下げたままで答えた。
「いや。俺たち三人は一心同体なんだ。サンの手がなくなるのは俺やイチの手がなくなるも同じこと。それなら俺の手の方がマシだ」
「すすんで犠牲になりたいというのか」
ニイは強く頭(かぶり)を振った。
「いや違う。俺は足は早いが、手先はイチやサンのように器用ではないんだ。ただで返してくれとはいわない。もし返してくれたら、金輪際、おじいやアオには手を出さない」
おじいさんはため息をついた。
「いまさらそんな言葉を信じられるか」
ニイは顔だけをあげて、おじいさんの目をじっと見つめた。
「俺たち河童は嘘は言わない。人間とは違う」
おじいさんはしばらく迷っている様子だったが、やがて町に持っていった袋の荷をとき始めた。
そして中からゆっくりと鎌を取り出したので、ニイは体をかたくした。
(やはりほんとうに俺の手を差しださなくてはならないか…覚悟を決めなくては)
その時だった。
バタンと戸を開ける音がして、
「おじい、待ってくれ!」
サンとイチがそこにとび込んできた。
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河童のちえくらべ 其の十
河童のちえくらべ 其の十一
河童のちえくらべ 其の十二