〜日本昔ばなし 河童のちえくらべ (第十一話)〜
尻子玉なみにウマイものとはいったいなんだ⁉︎
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河童のちえくらべ 其の一
河童のちえくらべ 其の二
河童のちえくらべ 其の三
河童のちえくらべ 其の四
河童のちえくらべ 其の五
河童のちえくらべ 其の六
河童のちえくらべ 其の七
河童のちえくらべ 其の八
河童のちえくらべ 其の九
河童のちえくらべ 其の十
「おじい、ありがとう」
河童たちはピカピカッと笑うと、そろってぺこりと頭を下げた。
「ところでお前たち。なぜそんなにワシらの尻子玉を欲しがるんだ」
河童たちは顔を見合わせると、とうぜんだ!と言った様子で答えた。
「そりゃあうまいからだよ」
「なるほど。どんな味がするんだ」
ニイが顎に手をあてて、うーん、と考え込んだ。
「最近食べたのはもうずいぶん前だからなぁ。ええと、トロリと甘くてフワッと柔らかくて、夢のような味がするんだ」
おじいさんは荷袋の中から、笹の葉の包みの紐をほどいて三匹の目の前に差し出した。
「これよりうまいか」
それは黄金色の芋ようかんだった。初めてみる芋ようかんに河童たちは目を輝かせた。
「これは食い物なのか。綺麗な色は尻子玉に似ているなぁ。食っていいのか」
「あぁ。食ってみろ」
サンが一本を掴んで丁寧に三つに分けた。三匹は揃って食べ、とたんに驚きの声をだした。
「うまい!尻子玉とはまた違うが、これはこれでものすごくうまいな!」
おじいさんは頷くと、
「さっきの妙薬だが、町に持って行けばきっと売れるぞ。それとわしのきゅうり畑もたまには手伝ってみろ。そうしたらその羊羹をまたかってきてやる」
河童たちはしばらく夢中で食べていたが、やがてサンが口火を切った。
「おじい、これは取引か」
「そうだ。だが、尻子玉を盗むよりずっと簡単で安全だ。それに」
おじいさんは続けた。
「お前たちの『ちえ』の使い先を変えるんだ。力づくで奪うばかりが能じゃないぞ」
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河童のちえくらべ 其の十二